キッズドーム ソライ 新館長のお知らせ
平素から、当館の活動に対して、ご理解ご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
このたび、6月1日より当館(KIDS DOME SORAI/鶴岡市)館長に渡邉 敦が就任しましたことをお知らせいたします。館長の渡邉は、世界的なテック企業が生まれる深セン市ではSTEAM教育、Maker教育を実践するなど、中国・香港を拠点に在住邦人子女向けの教育事業に十数年間従事したのち、昨年4月から当館を運営しているヤマガタデザイン株式会社で勤務し、今回の異動で、館長に就任いたしました。
6月1日からは利用対象を小学生以下から、中学生以上も広げる「オトナのツクルバ」、衣類のアートリメイク体験ができる「SORAI WEAR(ソライ ウェア)」もスタートし、年齢の境なく「夢中」になる時間を楽しみながら「ないものはつくる」「個性を伸ばす」文化をみんなで育んでいきます。
引き続き、ご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
就任にあたっての挨拶
加速度的に変化する社会において子どもたちが生きるために必要な力とは何なのか、その力を身に着ける手法とは何のか。今、私たちは大きな教育的課題を抱えています。しかし、この課題は、超高齢社会のように人類が未だ経験したことのない課題ではなく、長い年月をかけて議論し続けられてきた課題です。
ルソー、モンテッソーリ、シュタイナーなど偉大な教育思想家、教育実践家たちは、現代でも通用する教育のあり方について多くの知恵や教訓を私たちに残しています。
しかし、私たちはその知恵や教訓を十分に実践することができていません。その原因の1つは、資本主義社会の構造にあると私は考えます。社会の成長の原動力が大量生産・大量消費であり、そこに必要とされる人材に必要とされる教育が、過去の偉大な教育家たちが掲げた理想の教育である必要はなく、大量生産を可能にする労働力、つまりチェンジメーカーやイノベーターを育成する必要はなく、一定レベルの知識を詰め込む教育でも十分だったということです。
今から200年以上前の江戸時代、KIDS DOME SORAIのある庄内の庄内藩校致道館では、幕府公認の朱子学ではなく、禁止されていた学問でありSORAIの名称のルーツにもなっている荻生徂徠(おぎゅうそらい)の唱えた徂徠学が採用されていました。
徂徠学の教育が重要視しているのは、「天性、個性、会業」です。子どもが生まれ持っている才能を重視して個性を伸ばし、自学自習と対話によって学びを得るということです。この教育思想はまさに現代の教育において私たちが実践すべきことばかりではないでしょうか。そして、この思想がすでに200年前に存在し実践されていたのです。
また、致道館では、10代から30代までと幅広い年齢層の人々が混じり合って学び、年齢や就業年数に関係なく習熟度に応じて進級するシステムまで採用されていました。
KIDS DOME SORAIでは、徂徠の教えである「天性、個性、会業」の重視から着想を得て、「夢中体験を通じて子どもの個性を育む」という理念のもと、小学生以下を対象としたサービスを提供してまいりましたが、今年6月1日に満を持して中学生以上にも門戸を広げ、致道館と同様に幅広い人々が互いに学びあえる場となりました。
より幅広い方に楽しんでいただくことだけではなく、夢中になってものづくりに没頭している大人の姿が子どもの好奇心の着火剤になり子どもが能動的に学ぶきっけになってほしい、大人も本気で遊ぶことそのものが教育であるという思いも込めて新しい試みをスタートいたしました。
私たちが何をなすべきかは200年以上前に先人たちが示してくれています。私たちはそれらの教えから理想の教育を追求、実践し、新しいチームで地域のみなさまに愛される学びの場をご提供できるよう、より一層努力して参りたいと思っております。
館長プロフィール
渡邉 敦(わたなべ・あつし)
山形市出身。教師を志し大学卒業後に日本社会を知るために日本全国をバイクで放浪したあと、中国に渡り、海外在住の邦人子女向けスクールの運営に十数年従事し、自身も小・中学生の算数・数学の教壇に立つ。世界的なテック企業が次々と生まれる中国深セン市では、経済格差による教育機会の平等性へのアプローチと、子供たちが自ら学ぶ場を提供するため、無料でプログラミングを学ぶことができるプログラミング道場を立ち上げるなど、STEAM教育やMaker教育など海外の教育環境の特性を活かした教育を実践してきた。1児の父。趣味は、庄内の自然を家族で満喫すること。